各務 周海

ぐい呑

new! 黄瀬戸
(制作年代不詳/2016年入手)

「黄瀬戸の周海」の名声をいかんなく発揮する一点に、昨年に続いて巡り合った。油
が内側から滲み出すような釉調、渋い黄の発色、焦げの調子、薄めのタンパンいずれ
も昨年入手の作とほぼ同じ。おそらく、同時期の窯から出たものと思われる。ご本人
の箱書・落款印も整って、没後七年目にして手元に仲間入りした奇跡の一点である。






new! 黄瀬戸
(制作年代不詳/2015年入手)

交通事故により急逝された周海さん、6年経過した今年(2015年)思い掛けず作品に
巡り合うご縁に恵まれた。内側から油が染み出すような釉調、腰回りの焦げ、勢いを感じさ
せる器体の轆轤跡、山水画のような草文と控えめなタンパン、全てにおいて他の追随をゆる
ない黄瀬戸の名手「各務周海」の真骨頂。没後ますます評価が高まっている所以である。







黄瀬戸 (2006年)

窯場を構える恵那山中で納得の行くまで土や灰を求め、扱いが難しい
窯で手塩に掛けて焼成された黄瀬戸は、艶を抑えた極上の油揚手。
しっとりとした器膚、口縁や高台際の焦げ、控え目なタンパンも趣を
添え品格を感じさせる。黄瀬戸に打ち込む作者渾身の優品である。



〔陶歴〕
1941年 岐阜県恵那郡長島町永田にて生誕
1964年 駒澤大学仏教学部禅学科卒業
岐阜県陶磁器試験場工業技術工芸科に入所
1966年 同科を卒業
多治見市市之倉の幸兵衛窯に従事
五代 加藤幸兵衛氏に薫陶を受ける
鈴木道雄氏に釉薬の基礎を学ぶ
1967年 生家に工房・ガス窯を築き独立
1973年 小田急百貨店にて初個展
以後、主に志野・黄瀬戸の研究を進め個展を中心に活動
1980年 研究を続けてきた黄瀬戸の穴窯による本格焼成を始める
2003年 NHK「器夢工房」に出演
2006年 しぶや黒田陶苑 各務周海展−黄金のやきもの−
2008年 しぶや黒田陶苑 各務周海展
2009年 交通事故により急逝
2010年 京都 野村美術館にて回顧展
神戸 ギャラリー壺屋にて遺作展


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