■エンディングフェイズ■
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エンディングフェイズ ―マスターシーン―
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白い服を着た1人の少女がビルの上に立っている。
彼女の眼下には病院があり、なにか騒がしい。
「FHエージェントが逃げたぞ!」
「なにぃ! 死んだんじゃなかったのか!?」
ぶっちゃけて言うなら、どこかで聞いた台詞であるがそれは世界のすべてを見通す目を持つものしか知ることはない。
「ああ、もう、うるさいな…」
少女は風になびく髪を押さえながらつぶやいた。現在少女の持っているロイスは起源種、古代種、変異種、戦闘用人格、実験体、複製体…
そして黒羽 明へのロイス……
「うーん、普通のOVも再生する時こんな感じなのかな?」
なんとなしに空の向こうを見る。
「結局、賢者の石もボクになじむ前に潰れちゃったし…」
つまらなさそうに鼻を鳴らした。だが、その唇の端は少し上に上がっているように見えるのは気のせいか。
「まあ良いか、もうしばらくは久路州市で遊んでいこう」
そういって少女は空を翔る。
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エンディングフェイズ
黒羽 明 場所:県立高校(夕) 登場:不可
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GM:学校の放課後。
明:まあ、今日の晩御飯考えながら、自転車置き場に、かな。
GM:自転車置き場に1人の少女が立っています
沙耶華:「やっ」片手を挙げ
明:「…?」
「え”え”!?」
面食らって明が立ち止まった。
「また来ちゃった」
テヘと舌を出して、少女――沙耶華は歩み寄る。
「今回はつきまとう気はないよ?」
「ええっと…そうじゃなくて…君は…」
明はまだ状況が把握できていないようだったが、彼女が明の周りを円を描くように歩きながら、
「ん〜、言うなれば宣戦布告?」
と首をかしげたあたりで、我に戻った。
「今度は負けないぞって」
びしぃと指を指す。
「やだ」
ふてぶてしく即答してみせる。
「えー! どうしてぇ! このボクが言ってるんだよぉ!」
「やだ。君のわがままにあれだけ付き合ったんだ。今度はこっちのわがままに付き合ってもらうよ?」
明のその言葉に、ブーイングを飛ばす。
「ぶーぶー!」
耳を貸さない、といったように首を左右に振り、明はいたずらっぽく笑った。
「等価交換。モルフェウスの基本だよね?」
沙耶華が自転車置き場のトタン屋根の上に飛び乗り、顔を半分だけ出してあっかんベーと舌を出す。
「けちー、明君のいじめっ子〜」
「君が一方的にやっても。僕は付き合わないよ」
ぷい、とそっぽを向く。
「そんなこと言って、か弱き少女を悪の道に誘うんだ〜」
誰も悪の道など誘ってはいない。むしろ誘っているのは沙耶華のほうだ。
「一緒にいたいなら、こっちに来るんだね。それが嫌ならどっか行っちゃえ」
まるで双方駄々っ子である。
「がびんっ!」
漫画のようなショックの受け方をしつつ、『きー』といわんばかりに怒りを見せる。
「鬼ぃー!!! 悪魔ー!!! 明君なんか便所虫に食べられて死んじゃえば良いんだぁ!」
「それが嫌なら、こっちおいで」
そして、手招きをする。
「僕は、ここにいるから。動かないからさ。よーく考えて」
沙耶華を見上げて優しく微笑む。
「むう…しょうがないなぁ…明君がどうしてもって言うのならそうしてあげよう」
実はまんざらでもなかったようだ。
「さあ。僕は動かない、だけだから? 君がどうするかは君が決める。主体性ない、って言われるよ?」
明の声はいつになくいたずらっぽそうだった。
彼にはなんとなくであったが、わかっているのだ、彼女がどういう行動に出るのか。
「むむむ!じゃあ、一緒にいる」
トタン屋根から飛び降りて抱きつく。
「おかえり」
優しく受け止めて、微笑む。
「ボクはこっちに来たよ、だから今度はボクの番だね♪」
明の胸元で微笑む。
「今度一緒に世界制服しようね♪」
「そうだねえ。音楽で平和裏に征服しようか」
トンでもない事をさらりというが、明はそれをやんわりと受け流した。
自転車を自転車置き場より取り出し、自分の脇に置く。
「世界を敵に回して愛を誓う男と女やんやん♪」
一人妄想で身悶えしている横を明が自転車を押し出した。
「…はいはい。じゃ、僕買い物あるから」
自転車に乗って走り出す。ただし、それほど速度は出ていない。
「や〜ん、明君まってぇ〜」
それを追う沙耶華。
平和な時が再び流れはじめる。
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エンディングフェイズ
神楽 樹 場所:UGN久路洲支部 登場:不可
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GM:UGN久路州市支部でもある御剣弁護士事務所
明日:「確かにマイクロチップは預かりました」
GM:今回の明日の姿は普通の霧谷です。
それは普通とは言わない。
樹:「…………」
明日:「ああ、本当に助かりました。もしこれがFHの手に渡っていたとしたらとうの昔にココはなくなっていたでしょう」
「……支部長」
静かに樹が口を開いた。
「なんですか?」
霧谷雄吾の姿をした明日は霧谷特有の優雅な笑みを浮かべて、言葉を促した。
「物部、景は…」
「どうなったか、ですか? それともどうしてこの“鍵”を持っていたのかですか?」
樹の言葉を引き継いで、問う。
「両方」
淡々と答える樹。生きている、と心のどこかで思っていても、報告書はすべからずそれらを否定する。だから聞きたかった最後通達を。
彼とは特に親しかったわけではないが、友人として、そしてエージェントとして彼はすばらしい人物だった。一部の性格を除けば、だが。
「まあ、前者は後で語るとして、後者は簡単です。“鍵”を持つのに適任だったから」
だが、樹が求める答えを先延ばしにして、”鍵”を持っていたことについて、先に明日は説明をする。
「“鍵”はそもそもこれ一つというわけではありません。“鍵”の存在する目的は“ギガンテス”が暴走した時にそれを制御する為に必要なもの。それが行なえる可能性を持つOVに持たせるのは合理的でしょう?」
ゆっくりと彼は説明をする。
「後は地理的な関係ですね」
「……地理?」
樹の疑問に優しく微笑んで、明日は答える。
「この街にいるものが“鍵”を持っていて、もしFH等、他の組織のものに“鍵”を奪われた場合、そのまま“ギガンテス”の場所まで入り込まれることがありますから」
「……納得」
「ですから、この街に住んでいなければ“鍵”の候補者は貴方を含めて数人にのぼります」
その言葉に引っかかりを感じた。
「――私も?」
顔を上げてさらに問う。
「はい、貴方もこの街に来るまでは“鍵”の候補者の1人でした。…まあ、“鍵”ばかり守って肝心の街の防衛が手薄になるのも本末転倒ですし」
「…………」
なんともよく考えている人間だろう。実のところ、さまざまな外見を見せ、軽口をたたく姿しかお目にかかったことがなかったのでそういうイメージしかなかったが、なるほど、提唱したといわれていることも、すべからずこの頭脳から導き出されるのか。
ノイマンシンドローム保持者でないと聞くが、匹敵するだけの知能を持っているのではないか。樹は、この支部長が支部長たる所以を垣間見たと思った。
「この街にはまだ多くの“禁忌”が眠っています。そのうちいくつかは貴方にも手伝ってもらうことになるかもしれません」
ゆっくりと手を握りなおし、椅子から机に身体の重心を組み替える。
「そのときはよろしくお願いしますね」
「……ふぅ」
ため息を一つついて。
「――了解」
「そうそう」
思い出したように霧谷の姿の明日が微笑んだ。
「消息不明だった”支配者”物部 景は、生存を確認できました」
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エンディングフェイズ
愛咲 恋華 場所:木造診療所 登場:不可
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GM:木造診療所。
モグリの医者、紫紺 鮮華が経営する診療所でもある。
鮮華に車椅子に乗せられて包帯グルグル巻きの怪我人が、外庭に座っています。
恋華:「鮮華お姉様〜♪」 とてとてと診療所にやってきます。
「ん? なんだね、お嬢ちゃん。また来たのか?」
鮮華という名のもぐりの医者はタバコを燻らせて駆け寄る少女をむかえる。
「はい。怪我人さんのお見舞いと、それから……」
むにーっとフトモモに抱きついて、彼女の中の『無邪気』を総動員した笑みを浮かべる。
「お姉様とお話ししに来ました♪」
「お? おおっ?」
抱きつかれ、さすがに面食らった様子で鮮華は崩れたバランスを取り戻す。
「どうした? おばさんはお姉様って歳じゃないぞ?」
20代ぐらいにしか見えないその医者の太ももにすりすりとじゃれ付く。
「なに言ってらっしゃるんです。こんなに若々しい肌なのに」
と生足をスーッとさすってそれはそれは至福の笑みを浮かべた。
「すべすべーですわね、えへへ」
やってることはセクハラである。
「こら、おいっくすぐったいぞ。…こらこら、こっちは仕事中なんだ、仕事の邪魔はするんじゃないぞ?」
身体をひねって恋華の身体から自分を引き離し、恋華の両脇を持って持ち上げて『めっ』と眉をしかめた。
「はぁ〜い。じゃあ、怪我人さんのお見舞いに行きますね」
「ん、そうか?」
(まだまだ時間はあるけんのう……眼鏡女医はゆっくり堪能せんと……クックック)
と、内心ダメなことを思いつつ、一度お姉様から離れて怪我人のお見舞いに足を向ける。
じとぉ…と、ミイラ男を髣髴させるその男の視線が車椅子の上から恋華に注がれる。
それをあえて無視し、ベッドで寝ている他の怪我人達に明るい笑顔を振りまきまわり、空気を和やかにしているのだが、ある種この診療所で浮きまくっている気がしないでもない。
ふと、先ほどの車椅子のミイラ男がちょいちょい、と動かしにくそうに手招きをした。
車椅子の怪我人さんの近くへと歩みを寄せる。
「なにやってるんだお前?」
ぼそぼそっと小さな声で問うその声は彼女が知っている『あの男』のものだった。
「……見ての通りですわ。可愛らしい子供として怪我人の皆さんを励ましつつ、美しい眼鏡女医さんとお近づきになってるんですの」
同じく小声で、割とだめだめなことを答える恋華
「いや、まあ…正直なのは良いが…」
流石に呆れているが、あまり強く言えないのが彼であった。何しろ自分にも何かと思い当たる節がある。
「今はまだ太腿止まりですけど……やがては豊かな双丘に……く、くくく……」
さらにダメダメな事を妄想しだした。
それに気がついて彼女を止めるべく彼が口を開く。
「そういえば神楽 樹はどうなった?」
声のトーンが少し落ちた。彼が仕事の時に出す本気モードの声だ。
「その辺は心配要りませんわ」
ふふん、と鼻を鳴らして恋華が微笑む。
「そうか、すまなかったな。俺のミスで迷惑をかけた」
その男は包帯の奥で自嘲気味に笑みを浮かべ、残った左腕でぎこちなく礼をした。
「気にする事はありませんわ。事件は解決、問題なし」
軽くウィンクしてみせる。
彼女は知っている。彼を待つ人間がいることを。
「あっそうだ迷惑ついでに中に入れてくんない? 歩けるようになるまでもう少し時間かかりそうでさ」
少し日が落ちて、気温が下がり、流石に肌寒くなってきた。
恋華は軽く肩を竦めて微笑む。
「……ま、いいですわね。貴方も頑張ったんですし、それくらいの事はして差し上げますわ」
車椅子を押して、診療所の中へと歩き始める。
彼は生きている。無くしたものは少なくはないが、彼なら大丈夫だろう。
そして、彼を待つ人間のために、そこが戻る場所だからこそ、彼はきっとすぐに回復するはずだ。
そういう人間だということを彼女は知っている。
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マスターシーン (編集者追加版)
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物部家。
主が帰らなくなって一週間はとうに過ぎた。
UGNのエージェントである真白 ほのかとステラ、火邑 香は報告書を読んで彼がどうなったかを大まかに知っている。生存の可能性は低い、と。
だが。
彼女たちは信じなかった。特にステラは。
久路洲市へ行く間際、主である物部 景が言った言葉を律儀に信じ、守っているのだ。
『いい子にして待ってろ。留守、頼むな』
出かけ間際にそういって出たその家の主は、それから帰ってこない。
夜が来る。何度目かの彼のいない夜。
普段の任務で遠出している時は、そうは思わなかったのに、今、この家に住む居候たちは毎日が不安だった。
食後、どこかぼんやりとバラエティ番組を見ながら、彼女たちは居間で各々くつろいでいた。
かたん。
玄関のほうで物音がする。
ステラとほのか、香と紅が顔を見合わせた。
先に動いたのは居間の中でも玄関に近い位置に座る、ステラだった。普段彼女がいつもこの役目なのだ。
ひょっこりと廊下に顔を出して、玄関を覗き見る。
彼女に最初に目に入ったのは白い人影だった。
ぼんやりと闇に浮かんでいる。
その人影は居間から漏れる光を頼りに、松葉杖にもたれながらぎこちなく履物を脱ごうとしているようだった。
だが、それは彼女にとってどんなに変わっても見慣れたもので、そして彼女たちが待ちわびた人物その人に他ならない。
「…ケイ?」
驚いたような声に人影も、そして居間にいた人間も動いた。
「よう」
もご、っと包帯に未だ巻かれたままの、その顔からくぐもった声が返ってくる。
ステラもほのかも、紅もその人物に駆け寄った。
駆け寄れないのは唯一、車椅子の香だけだ。
包帯でぐるぐるまき、さらに右手と左目を失ってはいるが、物部 景は生還した。
彼女たちは各々で彼を支え、居間に導く。
香が微笑んで彼を居間に迎え入れる。
紅は玉露を入れた。
ほのかが優しく口付けを交わす。
ステラは…涙を浮かべて左の目があった部分をそっと触れた。
「ふぃたす…なくなった?」
『フィタス』とはステラの故郷の言語で賢者の石を指す。景の左目の奥に賢者の石があった。
だが、今はない。
包帯の奥で景が笑う。
「ああ、なくなっちまった。ステラ、嫌か?」
ステラは首を左右に振る。
「そんなことないよ。痛かったよね? 大変だったよね…」
ふええっ、と再びステラは泣き始める。
「あーもー。泣くな。俺が帰ってきたんだ、満足なら泣くな」
自由にならない自分の身体が恨めしい。普段通りなら間違いなく唇を塞いでいたところだ。
「ほら、そういえば、言ってないことがあるよ。私たち」
香の言葉に皆が顔を上げた。
ステラも涙をぬぐう。
視線が、景に集中した。
「…なに?」
きょとん、とした表情でそれを見返す。
「お帰りなさい」
全員が声を合わせて微笑んだ。ステラは涙でぐしゃぐしゃだし、ほのかも涙を浮かべている。
「おう、ただいま」
包帯の奥で、微笑む景は、生還したことを心から喜んだ。
まだ傷は癒えない。
だが、心は癒される。
彼女たちの笑顔があるから。
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Double+Cross The 2nd Edition
『Paradise Lost3』
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