『赤月にて慟哭す』
2006/12/18〜22
ゲームマスター:久流
プレイヤー:だいち/SATMRA/炎舞(敬称略)
キャラ紹介 | オープニング | ミドルフェイズ1 | ミドルフェイズ2 |
ミドルフェイズ3 | クライマックスフェイズ | エンディングフェイズ |
警察。刻 :「………。」かつかつ、と黙って歩く。
UGNの干渉もあって。名前を出すと別室の留置室に案内される。
其処にいたのは確かに昨日までの森下だが。椅子に座ったままで視線を上げようともしない。
手や肩は弛緩して上げもせず。刻 :「……シゲ」
口は半ば開いて力無く。
総じて何かが抜けきった後のよう。
首筋には昨日の名残か。鱗のような物が張り付いている。
目の色は──青い。
では睦 美:「……ぅ、く……」右腕が疼く。
引き上げた研究資料を求めて支部の資料室に。
きちんと日付入った資料の束が置かれている。
そもそも今回襲撃した研究所の所長は──”ラピスラズリ”。
疼くのは右腕ばかりでなくて、もう塞がったはずの切開の痕が、打ち込まれた弾痕、抉られた眼窩、注ぎ込まれた睦 美:「……実験の……」
……頭を振る。
研究所としての研究テーマは”女王因子を用いての支配系の確立。PJアダム・カドモン”睦 美:「こっちは……本当なら、壊れたものを……統制して……」
10年前に君が関与していた実験とは真逆のテーマ。
”自己を含めた支配形態の徹底的な破壊”が当時のテーマ。”血液自体まで含めた全身を心臓にする”と言うのはその最たる物。
言い換えれば──”破壊”のみを目的としている。
もっとも相手が居て、の前提になるが。
”電子の妖精”の能力も酷似している部分はある。睦 美:「――私と、真殿さん、と。巻き込まれた、じゃなくて、たまたま、でもなくて……まさか」
──障壁という”壁”を認識し、確認し、”破壊”する。
アダムカドモン。完全なる人の意味。
言わば、相手が無ければ成り立たない。”壁”を構成する能力を所持する者がいなければ”成り立たない”。
カラダが脈を打つ。過剰な圧力で脆弱な中味が軋む。ありえないありえない、そんなことはありえない。睦 美:「……ッ、あっ……ぅ」
偶然だ偶然だ。偶然に違いない。そうでなければ――そうでなければ?
当事の関わった者の台詞。──”ありえないということはありえない”
ひたひたと。足首を泥を纏った手に掴まれ引きずり込まれる感覚。
――”際限なく壊れたものを統御する方法”
もしかしたら。わたしはあのとき。彼女を殺さなくても――、いや、これまで手にかけてきた誰もが、もしかしたら
違う。これは違う。私は壊れたんじゃない。壊された。まだ壊れていない。大丈夫だ。私はまだ――睦 美:「……壊された、のなら、壊した相手を……」
お ぃ で む つ み
パサリと
書類が風も無いのに落ちた。
偶然だ。ただの。”番 睦美”の持つ知覚能力は低い。そういうふうにできている。軽い物体を動かした、些細な要素を拾えていないだけ。
こ
れは、レネゲイドウィルスが見せるただの”衝動(アージ)”、幻覚に過ぎない。そのはずだ――
壊して統御する能力。ならば、この幻覚も、その”統御”が引きずり出したモノだ。そうに違いない――
――頭を潰せば、声は止む。
それでも戻れなかったら、という簡単な問いの結論を出すことが、できなかった。
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