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ミドル・フェイズ 【獣の夢と現実】
Scene Player :真殿 壬緋 登場;自由
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壬 緋:(いっころ)
ダイス:1d10=(1)=1+46=47
ゆらりゆらり。
暗闇が際限なく広まって。
足元は泥に嵌ったように重く。
感じる空気は酷く汚れている。
走れば走るほど
前に歩く人は遠く。
やっとの如く捕まえると。
手にした杖で 煙草で
傷つけられた。
意識は混濁し。
──現実に。
壬 緋:「…大丈夫大丈夫。ボクはまだ頑張れる……まだ、まだ…ボクは…”いらない子”じゃない」
喉元へと手を伸ばして。確かめるように撫でる。
G M:転寝。支部の資料室の机にて目が覚めた。
時間は睦美と別れてから2時間と言った所。
壬 緋:「…おでこ、痛い」唖然と呆然とそのままうーんと伸びをする。
? ?:「──────」
G M:部屋の片隅に”死神”の姿。一つ嘆息。
壬 緋:「…────えと…珈琲、飲む? 死神さん」にこっと笑みを向けた
駆 穂:「────やれやれ」半ば呆れたように言ってのける。
壬 緋:「なに? 気に障った?」
駆 穂:「いいや。興味を引くほどでもない」淡々と。目線は変異したはずの腕。
壬 緋:「そう? ボクは君にとっても興味あるけど……困ったね、これ」掲げてみせる
駆 穂:「だろうね」
壬 緋:「キーを叩く手もままならないし。結構不便。片手って」
駆 穂:「だが。チルドレンと言う道を選べば何れそうなる可能性はこれからも。今も否定できない」
壬 緋:「だったら。そうならないように足掻こうと思う。『要らない』って言われない限り……ところでさ」
駆 穂:「ああ」やれやれ、と肩竦める。
壬 緋:「いつも、笑ってないよね、君」
駆 穂:「性分かもしれないね」
「僕とは異なり。君は無理して笑っているがね」
壬 緋:「みてみたいなあ…だって綺麗な顔してるのに、笑わないなんてもったいないよ
……そう? ボク、無理してる?」
駆 穂:「それが”彼女”の術かもしれないがね──ああ」
壬 緋:「そっか。じゃあお互い様なんだ。似たものっていうのかな。
お互い、『生きる理由』が他人のためなんていう理由だもの……そうだなあ」
駆 穂:「君は他人に心に一定の距離を保ち、それ以上に近寄ろうとも遠ざかろうともしない。
パーソナルスペースが酷く堅固だ」
「だからこそ。己の距離に踏み入れられる事を酷く拒み。記憶すら封印した。──傷つく事を酷く恐れている。」
壬 緋:「やだな、そんなふうに見透かされてるんだ、ボク。解りやすい?」
駆 穂:「君が言うには似た物同士という事じゃないのかい」
壬 緋:「意地悪というかなんというか……。―――ねえ、この件が終わったら一つ、ボクのお願い聞いてくれない?」
苦笑して
駆 穂:「出来る事ならね」
壬 緋:「とても簡単だよ。ほんとに」
駆 穂:「それとも生きていたら、とでもいうかな。君には」
壬 緋:「んーと。そのお願い叶える為に、ボクは頑張れると思うから」
駆 穂:「言ってみるといい」
壬 緋:「”お友達になってほしい” ……ずっと思ってたんだ。時々、UGNの施設で君を見かけてて、気になってた」
駆 穂:「友情に対価は必要なのかい。君には」本当に呆れたような声色。
壬 緋:「んー。だってさ。君っていつも冷たい顔して『誰ともお友達になりません』って顔してるもん」
つまんなーい、といわんばかりにいすにもたれてギイギイ言わせる。
駆 穂:「地顔でね」冗談かどうなのか。淡々と告げる。
壬 緋:「かっこいいのに」ぶー
駆 穂:「────忠告するよ」
壬 緋:「うん?」
駆 穂:「”今のままの君”ならば。遠い将来。近い将来。──己の影に食われて無残に死ぬ」
「それは君の能力が”未熟”という理由ではない。己の傷に食われて”死ぬ”」
「最たるものが。”それ”だ」
目線で変異した腕を指す。
壬 緋:「……かも、しれないね。正直。『自分が本当に自分であるか』なんていう自信も未だないし―――でも。
言い換えるならそれは君自身にもいえること?」
駆 穂:「僕はもう踏破した過程だからね」
壬 緋:「つまり、後続にアドバイスってところ? でも本当に踏破できた?」
駆 穂:「僕は”牙狼の王”だ。継いだ意味はこの手に。それ以上でもそれ以外でもない」
壬 緋:「強いね。どこか悲しげなのに」
駆 穂:「傷を。人の想いを。過去を全てを自分の”糧”にする」
壬 緋:「いろいろ、背負ってるってこと? だから一人なの?」
駆 穂:「僕は一人じゃないからね」
壬 緋:「ボクも、強くなれるかな。君みたいに」
駆 穂:「君次第さ」
壬 緋:「やっぱりすごいね、君は」
駆 穂:「──だからこそ。君はその傷に打ち勝て。」
「”それ”は自分の傷だ。見えて欲しくないもの。己の痛みだ」
再度腕を見て。
壬 緋:「……痛み…」無意識に喉元に手を添える
駆 穂:「自分が失敗した経験、精神的外傷。”絶望”を糧にして痛みを具現化する。それが彼女の能力だ」
「だからこそ彼女に対峙する事は酷く困難で。支配を逃れる事ができない」
「”女王には逆らえない”」
壬 緋:「Queen of Blue……ある種関わりがある。…つまりそういうことなんだ…勝てるかな」
G M:さて、と一息。
駆 穂:「”君次第さ”」
壬 緋:「でも、味方に王様がいるんだもん。ボクは頑張るよ? 足掻くって決めたもの。それにお願いしたもの」
ぐ、っと拳を握る
駆 穂:「なぜ僕がこうして言っているかわかるかい。真殿」
壬 緋:「……えと…」きょとん、と見て
駆 穂:「君が。いや。番もそうだ。これから彼女に対峙する誰かもそうだ」
「己の傷を乗り越えて歩む事が出来るか、が問われているのさ」
「だからこそ。退く事も決して恥でもないんだ。辛いからね。己の傷と向き合うのは」
ふぅと一息。
「”後は君次第さ”。義憤にしろ、自己防衛にしろ。好きにすればいいさ」
壬 緋:「ボクはね。あの恐怖から逃げられないと思ってる。まだボクは耐えるだけの力がなくてすぐ恐慌に陥るけれど」
「でも……それを含めて”自分”だと思いたい」
駆 穂:「そうかい」
壬 緋:「間違ってる?」
駆 穂:「其れが君の答えなのだろう。僕が否定する事じゃないさ」やれやれ、と肩すくめ。
「僕が否定する時は。君がその道を外れた時だ。まだ今じゃないね」
壬 緋:「あはは。君らしい回答」
駆 穂:「──そうかい」
壬 緋:「辛いね。痛いし。でも……向き合わなきゃ。耐えることも、乗り越えることも、包むことも出来ないよ」
駆 穂:「良く考えるといい。もう一度言うよ。己の傷と向き合うのは辛いよ」
壬 緋:「でもよかった。君がここにいて」
駆 穂:「そうかい」
壬 緋:「安心して頑張れる」
駆 穂:「僕の忠告はこれで。どうやら僕に何か聞きたかったみたいなので干渉してみた」
G M:ふぃに死神は空間に掻き消える。
※衝動判定。目標値:12。
壬 緋:(ころころ)
ダイス:8r10=(9,9,3,8,10,5,3,2)(3)=3+10=13+4=17
G M:成功。目標値14に。侵食値+1D。
壬 緋:(いっころ)
ダイス:1d10=(7)=7+47=54
壬 緋:「…っぅ」
「…まだ、まだだ。頑張れる。まだ、ボクは『要らない子』じゃない…」
ギブスの中の腕が疼くが、それよりもずっと、服の下に隠された多数の傷のほうが痛む。そんなものは幻痛だ。解ってる。
だけどまだ、まだだ。
壬 緋:「諦めないんだから―――」