DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION リプレイ

『赤月にて慟哭す』


2006/12/18〜22
ゲームマスター:久流
プレイヤー:だいち/SATMRA/炎舞(敬称略)

キャラ紹介 オープニング ミドルフェイズ1 ミドルフェイズ2
ミドルフェイズ3 クライマックスフェイズ エンディングフェイズ

■後話■
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エンディング・フェイズ 【月夜に捧げよ。獣】
Scene Player :多々良 刻 
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一段落して。
凍えるような空気の中で白い息を吐きながら。
帰宅し。夜分ゆえに勝手戸を押し開き。
中庭を通って自室に向かおうとした時。
養父の文也が縁側に座り。片膝ついて杯で酒を飲んでいた。
赤い月を見上げ。何ともなしに。ただゆるりと時間を過ごし。

 刻 :「………戻りました、親分(歩みを止め、頭を下げる」
文 也:「おぅ。大変だったな」目線だけで笑い。もう一献飲んだ。
    「どうだった。今宵の鉄火場は。刻」
    くぃと。もう一献。
 刻 :「……そうですね……。」ゆっくりと考え
G M:文也は杯をもう一つ盆から出して刻の前に置く。徳利からゆっくりと注ぐ。
 刻 :「……大雑把なものですが……『自分との戦い』でしょうか」いただきます、と杯を取り
文 也:「そうか。まぁ。俺らみたいな生き方してる奴らは皆大なり小なりそうだな」
    「シゲの奴がさっき戻ってきてな。先ほど。卓の奴が警察から連れて帰ってきた」
    「そろいも揃って身体は無事。喜ばしいこった」
 刻 :「………そう、ですか」ほぅ、と息を吐く
文 也:「それで、だ。お前にもそろそろ役目をやろうと思う」
    「──卓。シゲ。来い」
森 下:「へぃ」
 刻 :「……役目?」
G M:二人の男の声が揃い。後ろの襖が開く。男二人。
文 也:「刻。これからは俺の刀だけでなく。”この組の刀”になってもらう」
    「言い方変えれば組長代行だ。この二人が補佐となる」
 刻 :「――…私が、ですか?」戸惑い。
文 也:「いい加減、俺の後を追うだけじゃ、な」口元笑い。
 刻 :「――………。」眼を閉じ、ゆっくりと思考
    「――…まだまだ未熟ですが。それでもよろしければ」すっ、と眼を開き、文也へと
文 也:「おぅ。任せた」
    「少し上に立って悩め。自分との戦いってやつだ」
    ほれ、と気軽に注ぎいれる。
 刻 :「………はい」杯を持ち、受け取る
村 上:「姐さんが姐さんになるんすね」
森 下:「……卓。お前は、なぁ」
 刻 :「………卓。後で俺の部屋に来い」淡々と抑揚の無い声で(ぁ
文 也:「ま、俺としては寂しいモンだがな、実際」
G M:一気に飲んで。
村 上:「……遠慮していいっすか」
森 下:「…………卓の始末はご随意に。お嬢」
 刻 :「………森下も、だ」お嬢さんが気に障ったらしい(ぁ
文 也:「さて。明日に一家に披露目を行なう。寝惚けるなよ。手前等」
 刻 :「………はい」静かに、はっきりと
    「……親父殿。申し訳ありませんが、私はこれで失礼します。少しこの二人に『話』がありますので」
    一礼し、二人の部下を引きずっていく
文 也:「おぅ」
    軽く杯を上げて見送る。
それらの光景を
月は見ていた。
赤い赤い血のような月。

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エンディング・フェイズ 【血のような月の雫】
Scene Player :番 睦美
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赤い赤い空間。
歩いて歩いて。
何かに手が届いた時。
拍子抜けたように羽毛の布団に倒れこんだ。
G M:戦闘後。処理班と入れ違いに、治療班によって護送。
    治療の流れにより、ごたごたしているうちに事態は自分の外の内で解決していた。
    要するに事務処理に移ったって事である。
    現在は支部長室。疲労が回復しづらい君を労って支部長代理が休暇を進呈した。
    今は休暇申請の書面にサインをしたところである。


支部長代理・美鈴:「お疲れ様でした。番さん」
G M:書面を受け取って。とぅと机の上に置く。
睦 美:「あ、はい……え、ええと、でも、その、いただいてしまって、よかったんでしょうか? その、この書類……」
    「このあいだから……数日間、確か、任務外の扱いでしたよね? なのに」今更あっぷあっぷ
美 鈴:「それぐらいの働きをしてもらったと思っています。貴方にとっては」
G M:最後の言葉にはやや比重を置いて言う。
睦 美:「……はい」数拍、息を溜めてから応える。
美 鈴:「”自分の影と向き合うと言うのは”。それぐらいの傷にもなる。本当はUGNに残るべきかを問う程なのですよ」
睦 美:「それは……そうは、思いません。ここから、逃げ出したい……とは思いますけど、でも、思いません」
美 鈴:「しかしながら。貴方は克服しようと前に一歩進んだ。だから休息です」
美 鈴:「──私達は子供を導く為にここにいますが。道を潰す為に仕事をしている訳ではありませんしね」
睦 美:「……居てもらえるだけで、ありがたいです。本当です」
G M:紅茶を淹れて。睦美に差し出しつつ。
睦 美:「帰ってきたら……また、よろしくお願いしま、あ、すいません、ありがとうございますっ」恐縮
美 鈴:「”まだまだ”ですけれどね」悪戯っぽく笑って。
    「結局の所。昔々の計画の名残ですが。今回の事件。正直言って仕組まれていた、と考えるのが妥当ですね」
睦 美:「……まだ、あるでしょうか?」
美 鈴:「仕組んだ相手は──プランナーですから」
睦 美:ごくり、と喉を鳴らして。軽く、鼓動が早まる。
美 鈴:「あの計画の事も考えると──ラピスラズリも関与している、もしくはしていた、と考えるのが更に妥当、ですか」
    美鈴はああっと思い出したように。
    「すいません。休暇中に。番さん」
睦 美:手が震える。眼窩、胸元、胴体のいたるところに、引き攣れるような幻痛が走る。
    その震えを、どうにか押さえ込んで、ティーカップを手に取った。
    「……あ、いえ。いいです。その、はっきりしたほうがいいです。わかりやすくて……その、あの、すいませんっ」
美 鈴:「そうですか。いえこちらこそすいません」
    「”青の女王を本来の形で復元した”事からも何らかのプランが行なわれている、ぐらいしか推測出来ないのですが」
    「出来る限り調査して行きたいと思います。フェノメノの事も踏まえて」
睦 美:「よろしく、お願いします……あの、」
    「……それで何かあったら、優先的に投入していただけるよう、お願いしても構いませんか?」
美 鈴:「よろしいですか。番さん」
    「私が言うのも変ですが。子供に辛い傷を押し付けるのは好きではないので」
睦 美:「……この傷を、抱えていけないなら、たぶん私、そんなに長くは持たない気がするんです」
    「人の名前聞くだけで泣きそうになってたら、いろいろと大変ですし」困ったような笑顔のような。
美 鈴:「わかりました。ではその様にとりはかります」
    「並びにこちらの書面にサインをお願いします」ずい、と一枚の用紙。
睦 美:「……はい?」確認してみる。
G M:『ルームメイト入室同意書』と書かれている。
睦 美:「……お気遣い、ありがとうございます。支部長」困ったような表情のまま、ペンを取る。
美 鈴:「寮の番さんの部屋は空いていましたので」さらりと一言。
    「どちらかと言えば。貴方にご苦労かけますが宜しくお願いします、と言うべきなんですよ」
G M:そういって先日出遭った電子の妖精の写真を前に置く。
美 鈴:「宜しくお願いします。番さん」
睦 美:「……はい」小さく頷いて、ペンを走らせる。
過去の傷。今の傷。
惑い惑いて
今一歩進む。

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エンディング・フェイズ 【女王の夢と狭間の現実】
Scene Player :真殿 壬緋
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どこまでも続く闇。
進む足に影は伴わず、音も伴わず。
ただ進むが光は見えず。息は切れ。
嘆くも声も届かず。
ただ。見上げると。
はるか遠くに
星が見えた。

G M:数日立って。黒巣支部に姉妹共々正式に赴任してきた現在。
    いい加減、寮内の場所を完全に把握する為にぶらついていると。
壬 緋:「……」ぐっぱーしながら、直った腕の調子を見つつ
G M:廊下のベンチにて黙黙と黒表紙の本を読んでいる”死神”の姿。
壬 緋:「…っとー…」ちょっと何か企んだ。駆け寄っていって―――
    ぎゅむ、と抱きついてみた。
    「なーによんでんのっ?」
駆 穂:「姉の遺書でね」眉を僅かに顰めて。
壬 緋:「そっか……お姉さん、いたんだ。いいね。いい人だった?」
G M:駆穂「そうだね。”いい人だった”」
壬 緋:「そういう記憶があるっていいね。うらやましいや」まだしがみ付いてる
駆 穂:「ずぼらでいい加減で。頭がいいが、間が抜けていて。逆境でも前向きで。弱音を吐く事が無かった」
    「だが死んだ。施設の仲間もそうして死んだ」
壬 緋:「それだから、友達作らないの?」
駆 穂:「君は僕が友達がいない、と勘違いしてるんじゃないのかい」
壬 緋:「んー。少なくとも。ボクが知ってる限り、君と『名前』で呼び合う仲の人間は知らないな。ある一線を設けてそれ以上近づけないようにしてるように見えるけど? 間違ってるかな」
駆 穂:「普通の生き方をしているつもりは無いが。人として。他人と共存する事を忘れた事は無いさ」
壬 緋:「でもそれだけだよね? 付かず離れず、って言うなら。ある種ボクと一緒だと思うけど? 方向性は違えど」
駆 穂:「そう言ってしまえばそうだね」
壬 緋:「それは否定なのか肯定なのかいまいち読めないんだけど」
駆 穂:「否定もしていないし肯定もしていないからね」
壬 緋:「気難しい人だねえ、君は。―――そうそう」
    「お礼を言おうと思ってたんだ」
駆 穂:「そうかい」
    ぱたんと黒表紙の本を閉じて。
壬 緋:「またそれだ。その顔良くないよう?」ふに、とほっぺを引っ張った
駆 穂:「性分でね」わずらわしそうにそっと手を払う。
壬 緋:「ボクが付きまとうの、迷惑?」
駆 穂:「いいや」
壬 緋:「駆穂君って誰も傷つかないようにさ、一人で踊ってるみたい」
駆 穂:「そうだね」
駆 穂:「そうやって。生きてきたんだよ。”僕ら”は」
壬 緋:「だったらさ」前に立って
駆 穂:「ああ」
壬 緋:「ボクは手を差し伸べるよ。君に。―――だってそれはとてもとても寂しくて」
    「とてもとても―――冷たい場所だから」そういって手を伸ばした。まるで握手を求めるかのように
    「それを知っているから、ボクは手を差し伸べる……変かな」なんだか、寂しげに笑って
駆 穂:「君は己の道をただ迷っているだけさ。真殿」
    「その抱えた”傷”に潰されなければもっと先に進める。ただ痛いだけの光を目に入れずとも、ね」
壬 緋:「そう。そうだよ。これはボクのエゴだ。でも、なんでかな。僕は君より弱くて、とてもじゃないけど君のように何でも受け流して生きるようなことは出来ないけれど」
    「なんでだろうね。ボクは君がすごく気になるんだよ。強いのに。なんでかな。とても脆く儚く見えたんだ……だからどうしても掴まえてそこにいるかどうか、確かめたくなるんだよ」
G M:──はぁ、と一息。
駆 穂:「好きにするといいさ。元々、友情に対価は発生しない。更に言えば約束だからね」
壬 緋:「あ。呆れた? ごめんね。不快だったら切り捨ててもらえばいいよ」眉をへの字にして…『あれ?』と、とまった
    「えっと…」状況把握できず、凍りついた。ぶっちゃけフリーズ
駆 穂:「ならば友情に即して。今回はこういうべきか。『ご苦労様』と」伸ばされた手を取って立ち上がる。
壬 緋:「…ボク、そういえば名前を名乗ってなかった。知ってるだろうけど。―――真殿 壬緋です。”電子の妖精”してます」にこ、っと笑ってみせる
駆 穂:「”牙狼の王”、久継 駆穂」
    「想いと命を糧にして。牙の道を駆ける血の者」
    「だが」
    「君に対してはこの名乗りは不適か。──久継 駆穂。久しく継ぐ、と書いて久継。駆ける稲穂と書いて駆穂」
    「友人として名乗る。よろしく。真殿」
G M:軽く握ったままの手を振って離す。握手。
壬 緋:「ボクは、真実の真に殿様の殿で真殿。保護されたときに血で真っ赤だったから『真赤』をひねって”壬緋”ってつけられた。よろしく! 駆穂君」すごい勢いでシェイクハンド。嬉しさのあまりか、照れなのか、顔が赤い。
    しかもこっちは両手で握ってる。よほど嬉しいらしい
G M:ふぅ、と肩竦めて。
駆 穂:「お互い、名前では大変だね」
G M:冗談なのか、なんなのか。感情篭った溜息一つ。
壬 緋:「そうかな、駆穂君の名前は、とっても綺麗だよ?」
駆 穂:「駆穂、は」
    「穂は命、駆は刈。総じて。死神の名前だ。あまりいい意味合いじゃないね」
壬 緋:「それでもだよ。―――だって、実った姿は黄金の波だもの。とても綺麗なのに。ボクと違って」
G M:さて、と一息
駆 穂:「僕はもう行くよ」
壬 緋:「うん、時間とっちゃったね、ありがとう。またお話できるといいな」にこ、と笑みを浮かべる
駆 穂:「ああ」
    鞄と本を手に取り。進んで。
    顔だけ振り返り。
    「血の赤は生きている命の証だから尊いんじゃないかな。真殿。──戯言かな」
    言葉残し立ち去る。
壬 緋:「……」小さく息をついて眉をへの字に曲げたまま、その場に立ち尽くし。
    「そんな風にいってくれるなんて、きっと君だけだよ。―――参ったなあ」頬を紅くして、ぽりぽりと頬を掻いて…暫らく彼が立ち去ったその場で余韻を楽しんだあと。くるりと向きを変えて寮の配置を覚えるための散歩を再開した

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Double+Cross The 2nd Edition
『赤月にて慟哭す』
−終幕−
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以上、ログ編集だいちでお届けしました(ぺこり)

※「ダブル・クロス The 2nd Edition」は、有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチの著作物です。


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